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トリミング

旅路の果ては天竺じゃなくてご当地っていう説

 

 

 去る5月にとある東京でご活躍中の(その筋では)著名な高松市出身の選曲家さんとご一緒するご縁を得まして、終演後の朝食の際に昔懐かしのローカルCMソングの話でその場に居た皆で異常に盛り上がるという一幕がありました。

 とりわけ倉敷市に本社を置く某企業さんの80年代のCMソングについて話は白熱し、「なんとしてもあのマスター音源を手に入れてリエディット(注・リミックスのようなもの)を作らなければ死ぬに死ねない」と血走った目で拳を固めるほどの白熱ぶりだったことを記憶しています。
 ちなみに奇特な一部音楽ファンの間に近年「音頭」ブームが到来しておりまして、誰も知らないような全国のご当地音頭音源が次々と(さして需要もないのに)世に再び出て来ております。改編モノでは昨年発表された岡村靖幸の「東京音頭」など出色の出来でしたね。

 さて「社歌ラップをドーナツ盤で自費プレスしてリリースしろ」などと周囲に好き放題言われつつも例に漏れずご当地音源の蒐集がライフワーク化しているのでまんざらでもない私にとって、先述の選曲家氏とのローカル四方山話は上半期のトップクラスに残るほどの結構な着火燃料となった訳で、その後夏にかけて人知れず更にせっせとご当地音源の蒐集に精を出していましたところ、岡山のアラフォー世代にとってはなんとも懐かしい『岡山ちびっこ音頭』の高音質音源がとある筋の方々のご協力で手に入ることとなりました。一報の電話を受けた際には仕事中にも関わらず大声を上げてしまい居合わせた同僚に大型受注と勘違いさせてしまいましたが私にとってはそれ程だという話です。
異常でしょうか? いいえ、だれでも。(金子みすゞ)

 さて頂いた岡山ちびっこ音頭音源を自宅で更に音質を整え、満を持して人前でかける機会を得たのですが、その時驚いたのが自分よりも一回り以上も若いヤングな方々が突然一斉に踊り出したことです。
 「君達はなぜこの音頭を知っているのだ」と後で彼ら彼女らに聞いてみたところ、「子供の頃地域の夏祭りで毎年踊ってましたよ」とのあっけらかんとした返答が。
 数日後驚きの熱も下がらぬままその音源をご提供下さった方々のところにお礼も兼ねて訪問しその話をしたところ、「当時我々はこの音頭を自治体と一緒に頒布していたのだが、その音源が県内各地に拡散し、そして末端の町内会にまで行き渡った果てにそのエリアでその後もずっと夏の風物詩として踊り継がれていったのではないか」という話になり、同時に「当時の目論見としては参加して体を動かしてもらうことで県内の皆さんに長いスパンで浸透するように、というものがあったのですがまさか20年以上を経て尚踊り継がれているとはこれは正直想定外ですねえ。(※完全に遠い目)」との感慨深そうなコメントが返ってきたのでした。(※私も一緒に遠い目)

 先日とある方が「文化とは生き様でありその伝承である」とナイスな表現をされていましたが、ご当地音源にまつわる地域の方々の中での伝承もまたある種無視できない味わい深いものではないでしょうか?
 そこで人それぞれの思い出が時を経てシェアされる瞬間があるならばそれもまた地域の文化のひとつかもしれないな、とその時テレビの画面を見ながら思った次第です。
 例えばこのお盆に開催された私の大好きな高梁市の「備中松山踊り」など今年で369年目でしたからね。伝承に次ぐ伝承の味果てに21世紀になっても老若男女が照れもなく楽しそうに踊る様は最早感動的ですらあります。

 弊社の方針の大前提に「地域に根ざす」というものがあるとするならば、例えば私などは小さなお子さんがうさぎやのCMソングを口ずさんでくれている様を見た際に、もしかしてその志が端緒に就いたのかな、と淡い感慨に少しばかり浸るのでしょう。
 そういう側面から推し量りながら、期待を寄せながら日々仕事に励んでいる社員がいることも知って頂ければと思います。
ただ酔狂な音源蒐集に没して独身を謳歌している訳ではないのですよ。


副島


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