創作童話

真雄を目指し 吾道一以貫之
週末は 善通寺で見られる お天気大丈夫かな
私は、毎週末 幼い孫二人と寝る時、YouTubeを見たいと言うので、少し見せた後に、絵本を読むことで、YouTubeを閉じさせています。
色々脱線しながら、擬音をつけたり、体を動かしたり、その日有った事で伝えたいことをお話に組み込んだりして読んでいます。
昔話や、定番のグリム童話は怖いと嫌がりますので、例えば「おとうさんはウルトラマン」を「じぃじはウルトラマン」に変えたりします。
(この場合、じぃじは、怪獣ばばちゃんに負けてお話が終わります。)
では、創作童話を綴りましょう。
「笛の吹けない 笛吹き男」
笛を吹けない笛吹き男 トムさんは、前に約束をした事を守ろうと取り組んで居ました。
なかなか、完璧とは言えないけど、しっかり取り組んでいる様でした。
トムさんは、大きなパン工場に勤めていました。
頑張って働き 結婚し家族が増え家を建て、両親と暮らしていました。
工場の社長さんは、大きな志を持って行動される、皆んなから尊敬される人で、男も尊敬していました。
トムさんも工場では、工程長の1人になり 数人の部下を任せてもらえる様になっていました。
そんなある時
職長と次期職長の工程長から 「来期から部下無し、一人で今まで通りパンを作り周りに関わらない様にしなさい。
待遇面は変更しない、今のままなので 問題ないだろう。」
「君は、次の組織に協力的で無いので、今後は関わらない様にする事
待遇は変わらないのだから、文句無いだろう」と吐き捨てる様に 職長と次期職長の工程長からの突然の話をトムさんは貰いました。
次の組織についてトムさんは、次期職長の工程長に次の様に話していたと思ったのですが、
トムさんは、『私のやってた事と違いがあるので、方向制が決まったら教えてね、やるからね。』っと
伝わって無かったか、始めから外す前提だったか分かりませんが。
どちらにせよ、決まった事だったのでしょう。
『無謀な条件 会社に通すの大変だったろう』とトムさんは思いましたが
ある事で 何らかのケジメが必要だとも考えてた様だった所での話に、トムさんは、二つ返事で約束をしたのでした。
職長と次期職長の工程長と約束し、みんなに関わらない様にどうしようと考え
極力事務所に居ない、出社時間、退社時間を切り詰め 極力定時退社してました。
そして、組織が変わって発表がされた後、組織図上の名前の位置について 改めて呼ばれて
念押しをするように、変更が無い事が伝えられました。
ある時 事務所から残業申請するようにと連絡がありました。
『? 待遇が変わらいので 申請はいらないのでは』
職長と次期職長の工程長に お伺いするとわからない 聞いてみると
次の日 朝 工場長と職長、次期職長の工程長がからお話が有りました。
「管理の仕事をしていないから、処遇についての支払いは無い。」
『当然ですね』
「工程長は呼称であって、権利権限は無い。」
『そうですか。』
そして、手帳を開かれ、試算した給料を説明されました。
「残業の上限35時間/月(上限)すれば手取りで2万ほど下がるだけだ」
話の間、職長の視線は落ち着かず、次期職長の工程長も見てるだけ 笑顔で説明する工場長。
トムさんは言いました。
『そうですね、当然です 理解しました 申請します。』
その後 社長さんとお話し頂くことがあり、一部変更があったと思ったのですが、
トムさんの勘違いだった様で 内容や仕事が変わる事は有りませんでした。
社長さんが時折おっしゃられる話の中に「誰に見られる事も無いところでも きれいに咲く花は美しい」
というフレーズを思い出して、トムさんは、独りでも楽しんで大好きなパン作りをして、日々過ごしていました。
家では、トムさんの嫁さんは何も聞かず、言う事なく 勤め先のお店で遅くまで残業する様になり家族を支えるようになりました。
嫁さんは、夕食の後、うたた寝をする様になり それを見たトムさんは 静かに食器を片付けたり、洗濯したり アイロンを当てたりと
不器用なりに、家事の手伝いを進んでする様になりました。
ある時、ドタバタと物音で目が覚めた嫁さんは、クスクス笑いながら『あら、大きな小人さん 片方の袖 アイロン忘れてるわ』と
トムさんは、『最新の流行だよ、知らないの』って笑いながら答えるのでした。
されて、ここで始めの約束は、反故された形になりましたが、
トムさんは、どんな形でも一度約束した事 口にした事出来る限り 人として守りたいと思い守り続けている様です。
何も関わらない、何も伝えない、何も残さない。と言う姿勢を取るようにしました。
そのトムさんの姿勢は、ある事件にを起こした人が行なっていた、姿勢をモデルにしている様でした。
ある事
それは、工場がまだまだ大きくなる為に 必死で皆んなが頑張ってた時に起こりました。
当時の工場は、良い会社に お給料も、お休みも、働く人が笑顔になれる様考え、一歩ずつ成長の途中でした。
また、それを工場殆どの人達が、望んでいて頑張っていた時でも有りました。
トムさんと次期職長の職場の数人が、浅はかな考え方で会社の方針を揺るがし多大な影響を及ぼし、
トムさんも働く皆んなが尊敬する社長を貶めたのでした。
そして 同じ志を持って仕事してくれてると信じていた社長は、酷く落ち込み、また多くの働く工場の人たちも嘆いていました。
暫くして トムさんの職場の若い職人が退職を申し出て来ました。
表向きは、他にやりたい事ができ その為に学校に通うのでと言う理由でしたが
最後の日 こっそりと本当の理由を語ったのでした。
「自分達のやってしまった事を恥じて、とてもここに居られない、ごめんなさい」と。
彼はまだ学生だった時 偶々 トムさんの仕事を見て 話を聞き パン職人になりたいと工場に来てくれた人でした。
勤勉な彼でしたが、若く幼かった為に 周りの浅はかな先輩達に惑わされてしまったのでした。
トムさんは自分の職場から 起こった事、若い職人を育てる事ができなかった悔しさと情けない気持ちでいっぱいでした。
それに付け加えて、扇動した人達や周りで煽った人達は残り、パンを作りををしている。
また それを知ってても 使い続ける人達もいる。
トムさんは ただ約束を果たすだけしか出来ませんでした。
そんなトムさんも、年を重ね工場を去る時が来ました。
トムさんは、一年前工場を去った先輩の姿を思い出していました。
先輩は40年間、失敗も有りましたが、一筋に勤め上げた職人でした。
その日 先輩は、朝 挨拶に感謝を述べ、夕方いつもの様に玄関で深くお辞儀をされて、工場を離れて行きました。
その姿は、いつもの服にいつもの鞄、違うのは、トムさんが家族でお祝いのひと時にと贈ったケーキの箱だけを持って帰る姿でした。
40年間勤めて、花束も無く、旅立つ先輩の門出を祝うセレモニーも無い、いつもと変わらない風景でした。
新しい職長の新しい風土なんだな、と変わり行く風景をさみしく感じたトムさんでした。
しばらくし、 トムさんの元に先輩から一通の感謝の綴られた手紙とケーキを囲んだ笑顔溢れる家族の写真が送られて来ました。
トムさんは ニコリと微笑んでました。
その日 トムさんは、初めて工場に行った日に着ていた服を着て、いつもと同じ様に
何も話さなく、何も伝えず、何も残さない様に、挨拶も簡単に済ませ、静かに長年使い込んだ鞄を持って工場の玄関を出ました。
玄関で振り向いたトムさんはポツリと呟きました。
『私も笛を吹く事ができたら良かったのになぁ』と言い
最後に、深くお辞儀をしながら詩を奏でました。
『・・・故説般若波羅蜜多呪 即説呪曰 羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶・・・』
トムさんは顔をあげ、振り返り 空を見上げて、家族の元に帰って行きました。
その夜、一陣の風が吹いた後 工場から幾つかの黒い影が工場から出て来て どこかに消えて行きました。
暫くして、工場には笑い声が響く様になり、工場に出来たお店は何時も パンを買う人で溢れ。
青空の下、菜の花が咲き乱れるお店の前では、子供たちの歓声と、時折 『ピィープー』と草笛が聞こえるそうです。
Fin
うーん今一つまとまりがないかな。
注;個人で作成したものなので、著作作物として、引用、転載はお断りします。
感想やお問い合わせなど一切お受けできません事をご了承いただきますようにお願いいたします。
では、ごきげんよう、さようなら
M,F,A